コラム

『月経の不調(月経痛/月経困難症)への対応』その1

2023.04.19

1.月経痛(生理痛)は、どうして起こるのですか?

・子宮は、妊娠に備えて、内膜が約1か月周期で変化します。

・月経後、子宮内膜は卵巣から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)の働きで厚さが増します。

・排卵が起こると卵巣から、エストロゲンに加え、黄体ホルモンが分泌され、子宮内膜は水分を含んでふかふかになり、受精卵が着床して妊娠しやすい状態になります。

・しかし、妊娠が成立しないと、内膜が剥がれ落ち、血液とともに体外に排出されます。

 

⇒ これが月経です。

              

・この時、子宮内膜の内側にプロスタグランジンという局所で働くホルモンが分泌され、その働きで子宮の筋肉は収縮し、子宮内に溜まった血液や剥がれ落ちた内膜を外に押し出そうとします。

・この働きは強さの違いこそあれ、お産の時の陣痛と同じですから、痛みがでます。

 

⇒ これが月経痛です。

 

したがって、多少の月経痛は、あっても生理的な現象です。

 

☞ しかし、仕事や生活などに影響が出るほど月経痛が強い場合や、年々増強する場合、あるいは月経時以外にも痛みがあるような場合は、産婦人科医に相談しましょう。

 

 

 

 

2.月経困難症とは何ですか?

・仕事や生活などに影響が出たり鎮痛薬が必要になったりするほど月経痛が強い場合、月経困難症と診断されます。

・月経困難症では、おなかの痛みや腰の痛みの他、頭痛や吐き気、胃痛、乳房痛、便秘、下痢、精神の不安定、食欲低下、ふらつきなどを伴うことがあります。

 

 ・月経痛は、20歳代で85%、30歳代で81%にあり、働く女性の37%は治療が必要になっています。

・また、働く女性の約9割が、月経痛がなんらかの生活の質(QOL)の低下を来すと回答しています。

 

 

 

 

3.月経困難症の原因

(1)機能性月経困難症

・月経では、子宮内に溜まった血液を体外に押し出そうと、プロスタグランジンの働きで子宮の筋肉が収縮しています。この子宮の筋肉の収縮が腹痛や腰痛として感じられます。

また、プロスタグランジンは、血管や胃の筋肉も収縮させるので、頭痛や吐き気が起こったりすることがあります。

特に病気がないのに強い月経痛を感じるのを、機能性月経困難症といいます。

機能性月経困難症は、20歳代が最も多く、30歳代になると少なくなります。妊娠や出産を経験していない方に多くみられます。

(2)器質性月経困難症

 ・子宮筋腫や子宮内膜症などの病気が原因で起こります。

・子宮筋腫は20-30歳代の女性の約20%がかかっている病気で、強い月 経痛や過多月経を引き起こします。

・子宮内膜症は、20―30歳代女性の10%、月経痛を訴える女性の25%、不妊女性の50%に認められます。

・こうした疾患があると、子宮やその周りの組織で炎症が起こり、その炎症物質がプロスタグランジンの産生を促して、月経困難症になります。

 

 

4.月経困難症の治療

・月経困難症の原因となる器質性疾患(子宮筋腫や子宮内膜症など)があるか、産婦人科で、内診や超音波、MRIなどにより検査します。

・原因となる疾患が見つかり、器質性月経困難症であると分かったら、その疾患の治療をします。

・しかし、機能性であるか、器質性であるかによらず、月経困難症の症状を軽くする治療をすることが大切です。

 

(1)鎮痛薬

 痛みを我慢しても病気が良くなるわけではありません

☞ 機能性であるか、器質性であるかに拘わらず、市販薬で構わないので、鎮痛薬を使いましょう。

・鎮痛薬は、月経痛の原因となるプロスタグランジンの合成を妨げる薬が効果的で、プロスタグランジン合成酵素の働きを遮断する非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)がよく使われます。

・この他、アセトアミノフェンが使われますが、アセトアミノフェンには抗炎症効果がほとんどないため、効果は弱いです。

・なお、NSAIDsは副作用として胃腸障害が起こることがありますが、胃薬を併用することで副作用を軽減できます。

・ただし、喘息の方はNSAIDsで喘息発作が誘発されることがあるので、主治医と相談しましょう。

 

病院で処方される主なNSAIDs

一般名

商品名

アスピリン

バファリン など

ロキソプロフェン

ロキソニン など

インドメタシン

インダシン など

ジクロフェナク

ボルタレン など

メフェナム酸

ポンタール など

 

(2)低用量ピル(OC)   

 

 ・月経は、卵巣からエストロゲンと黄体ホルモンが周期的に分泌されることで起こりますので、この周期的なホルモン分泌を止めてしまうと、子宮内膜は厚くなったり剝がれたりすることがなくなり、月経が止まります。

低用量ピルは、エストロゲンと黄体ホルモンの両方が含まれ、排卵を止めて避妊するための薬です。排卵が止まると、子宮内膜が薄くなることが分かっており、月経量が減って、月経痛も軽くなります。

  ☞ 鎮痛薬を服用しなければならなかった人が、鎮痛薬を必要としなくなったり、月経痛が原因で仕事を休んだりしていた人が、仕事や日常生活を楽に過ごせるようになります。

 

・最近はさらに低用量ピルと同様の成分ですが、ホルモン量がさらに少ない超低用量エストロゲン・黄体ホルモン薬(LEP)も健康保険で使用できるようになりました。

・また、使用方法も周期的に月経を起こさせる方法と、長期間連続使用して、その間月経が来ないようにする方法があります。

☞ 後者の方が、月経痛に対する治療効果が高いことがわかっています。

・低用量ピルやLEPは、機能性、器質性月経困難症のどちらにも有効です。主治医とよく相談しましょう。

 

健康保険で使用できるLEPの種類(2021年3月)

商品名

服用パターン

1シートの錠数

ルナベル配合錠LD

フリウェル配合錠LD

21日間

21

ルナベル配合錠ULD

フリウェル配合錠ULD

21日間

21

ヤーズ配合錠

24日間

28

(実薬24)

ヤーズフレックス配合錠

24日間/

120日間

28

ジェミーナ配合錠

21日間/

77日間

21/28

 

 

 

(3)漢方薬

 

 ・漢方薬は、女性の体調不良の改善に効果があるものが多く、月経困難症に対しても有効な治療法です。健康保険も使えます。

 

☞ 女性の体調をみて、どの漢方薬を使うか判断します。

月経困難に対して使われることが多い薬は、当帰(とうき)芍薬散(しゃくやくさん)、加味逍(かみしょう)

遙散(ようさん)、桂枝茯苓(けいしぶくりょう)丸(がん)です。

(続きは次回コラムで)

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