『月経の不調(月経痛/月経困難症)への対応』その4
希発月経・無月経とは?
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希発月経とは?
・希発月経では月経周期が長くなっています。
・この場合、無排卵性周期の頻度が高くなったり、卵胞期が長くなって
卵子が過熟し、排卵しても不妊や流産の原因になったりします。
・あるいは、子宮内膜が厚くなりすぎて不正出血(破綻出血)が起こっ
たりします。
・希発月経の原因はよくわかっていません。
・月経の体内時計の周期が長くセットされていると考えられ、精神的
ストレスや肥満、全身の病気などにもよく合併します。
・しかし、無月経に移行したりする過程のこともあり、その場合は
排卵障害の症状と考えられ、注意が必要です。
・病院では、まず、排卵があるかどうかを確認するため、
基礎体温表を確認します。
・無排卵であったり、排卵があっても不妊症であれば治療します。
・治療は「排卵誘発療法」を行いますが、すぐに妊娠を希望しない
場合は、ホルモン剤で人工的に周期を調節します。
無月経とは?
無月経とは?
2つの観点から無月経が分類されます!
1つ目の分類
『原発性無月経』と『続発性無月経』
・18歳になっても初経(生まれて初めての月経)の起こらない場合を
『原発性無月経』と言います。
・それまであった月経が3か月以上来ない場合を『続発性無月経』と言
います。
(ただし、妊娠・分娩・産褥に伴う無月経と閉経後の無月経を除きます)
2つ目の分類
『視床下部性』、『下垂体性』、『卵巣性』、『子宮性』
・月経は、間脳(視床下部)―下垂体―卵巣―子宮がきちんと機能する
ことで規則的に発来(始まること)します。
・この無月経がどこに障害があって無月経になっているのかによる分類
です。
☞ この2つの観点からによる無月経をマトリックスにしたものが以下
の表です。
その他の分類
また、『第1度無月経(無月経の40%)』と『第2度無月経(無月経の
60%)』に分類することもあります。
・『第1度無月経(無月経の40%))』は、卵胞ホルモン(エストロ
ゲン)が出ていて子宮内膜がある程度増殖しており、黄体ホルモン
を投与するだけで月経が来る、比較的軽症なものを言います。
・『第2度無月経(無月経の60%)』は、エストロゲンが出ておらず、
エストロゲンと黄体ホルモンの両方を投与しないと月経が来ない、
比較的重症なものを言います。
次回は、
「病院での検査、検査結果を受けての対応は?」
についてです。
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現在、医療法人財団順和会山王病院長、国際医療福祉大学産婦人科統括教授、日本産科婦人科学会監事(前理事長)、現場医師として、女性診療、人財育成の最前線に立ち、また厚生労働省の各政策会議、日本学術会議、公的運営会議、学会等の公務に務め、赤ちゃん、お母さん、女性の健康と笑顔に資するべく、業務に取り組んでいます。尚、2020年まで東京大学医学部産婦人科教授として長年、診療、研究、教育を務めて来ました。